季刊考古学143号(雄山閣)
「ヒトの骨考古学」(2018)
骨考古学分科会20周年にあたり、到達点と展望を確認するために編纂した特集号です。骨考古学の多様なアプローチと問題意識、考古学との協働を知ることができます。
骨考古学のこれまでとこれから(片山一道)
人骨の発掘方法―取り上げから報告書まで―(奈良貴史)
人骨の形質から読み解く生活誌と生活史
妊娠出産痕(五十嵐由里子)
人骨に見られる人為損傷(坂上和弘)
四肢骨の機能適応と活動習慣の復元(萩原康雄)
筋付着部発達度分析から復元する身体活動―縄文狩猟採集民と弥生水稲農耕民のMSMsの性差と年齢差―(米元史織)
古人骨の虫歯と歯周病(佐宗亜衣子)
ストレスマーカーから探る過去の人々の健康状態(澤田純明)
【コラム】古人骨の修復(中塚彰子・佐伯史子)
社会構造復元へのアプローチ
埋葬行為復元の骨考古学的意義(青野友哉)
未成人骨の年齢推定と人口構造(長岡朋人)
古人骨集団における授乳・離乳パターンの推定(蔦谷 匠)
骨考古学からせまる社会の複雑化 ―人間行動生態学の視点―(米田 穣)
結核と社会(岡崎健治)
【コラム】骨から顔立ちを復元する(川久保善智・戸坂明日香)
進歩する分析手法
アミノ酸窒素同位体比による先史集団の詳細な食性復元(板橋 悠)
ストロンチウム同位体比による移動と集団構造(日下宗一郎)
歯石の生物考古学―DNAとプロテオミクスを中心に―(澤藤りかい )
コラーゲンフィンガープリント法(ZooMS)(覚張隆史)
【コラム】古代DNA解析の見地からみた骨考古学(安達 登)
「古人骨は語る 骨考古学ことはじめ」(片山一道 1990 同朋舎)
骨考古学に含まれる研究領域を理解するためには、「骨考古学分科会について」で紹介した片山 (1990) の目次が役に立つ。 さらに今日では、動物骨を対象とした動物考古学や、埋葬に関わる考古学を含まれる。
歴史科学としての考古学と自然科学としての人類学を結ぶ新しい領域として、21世紀になり骨考古学の重要性はより明らかになっている。
日本語や英語の文献で、さらに骨考古学を学ぶことができる。
プロローグ
第1章 骨考古学ことはじめ
骨考古学解題
形質人類学の近代革命
古代への窓、それは先史学
第2章 人の骨について
そもそも骨とは
骨の数と種類
骨格のリモデリング
第3章 古人骨を解読する
性別判定
年齢推定
体つきと顔だち
第4章 古人骨から探る生業活動
古人骨研究の新しいアプローチ
習慣的姿勢による骨変化
生業活動による骨変化
その他の生活痕
第5章 古人骨から探る健康白書
古病理学のアプローチ
古栄養学のアプローチ
第6章 古人骨から探る人口現象
古人口学のアプローチ
古人口学の常識と非常識
第7章 骨考古学のすすめ
これからは骨考古学
骨考古学の今後の課題
考古学と古人骨研究
古人骨標本の再埋葬の問題をめぐって
エピローグ
参考文献